再生医療支援機構

最高顧問ご挨拶

最高顧問(元京都大学総長)
先端医療振興財団理事長
井村 裕夫

 病気の中には薬物によっても手術によっても治療できないものが少なくない。それは人間においては傷害された組織を修復する再生能力に限界があって、自然な修復が困難なことが多いからである。この限界を乗り越えて組織の再生を促そうとするのが再生医療であって、様々な組織について研究が進んでいる。従来の医学の手の届かない領域を開拓しようとする再生医療は、ある意味で究極の医療ということができる。特に急速に高齢化が進むわが国においては、高齢者が内容のある質の良い生活ができるようにするべきであり、傷害された組織を再生し、機能の回復を図る再生医療の重要性は大変高いということができる。

 このたびNPO法人”再生医療支援機構”が発足したことは、大変喜ばしいことである。再生医療には大きく分けて二つのグループがある。その一つはわれわれの体の中に存在する幹細胞の再生能力を活用するものであり、もう一つは受精卵から作られる胚性幹細胞を利用するものである。現在実用の段階に到っているのは前者であって、角膜、皮膚、血管などいくつかの組織の再生が試みられている。しかし研究レベルでは成功しても、それを実用化して多くの患者さんを治療するためには、組織を培養するための材料や設備が必要になる。この再生医療支援機構は、角膜の再生を柱として、羊膜を活用する再生医療を支援することを目的として設立されたものである。角膜はいったん混濁すると自然な治癒は困難で、従来、移植が唯一の方法として実施されてきたが、ドナーの不足で多くの人を治療することは困難である。従って再生医療への期待が大変大きいといえる。

 再生医療は決して大きい利益を生む医療ではないが、病む人にとって大変な福音となる医療である。従ってそうした医療を実用化するためには、多くの人々の支援が必要となる。
病気を持つ人が新しい光を手に入れて、社会へ復帰できるようこのNPO法人の発展を心から期待したい。

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